串田孫一的オースター

100ページに満たない薄い本ながら新潮社は1,600円もとろうとするので買おうかどう迷っていた本なのですがけっきょく買ってしまいました。ポール・オースターが自分のタイプライターに対する愛着を語り、それにサム・メッサーという人が絵をつけている本ですが、メッサーの絵にオースターが文をつけていると言う方が正確かもしれません。

世の中がどんどんとデジタル化していくなかで友人から安く譲ってもらったタイプライターを使い続ける大御所作家のこだわりっていうんでしょうか。道具に対するフェティシズムというのはけっこうぼくは好きです。先日亡くなった串田孫一さんにも『文房具56話』(ちくま文庫)という名随筆があって、これもぼくはけっこう繰り返し読んでいます(蛇足だけど石川九楊みたいな拙速さがないのがまたgoodなのです)。

ぼくもまた、こうしていまそのキーを打っているiBookをオースターがタイプライターを愛したように愛せるのでしょうか? そういえばApple社がmac bookにブランドを移行してしまったのでこの先iBookが生産されることがないということを考えると骨董的な愛着もまた生まれるかもしれません。機械って新しい機種が出たての時とかちょっと古びるとダサく見えるんですけど、そこさえ通過すれば後は「おっ、ものを大事に使っているんだね」的な世界に入れるのだと思います。携帯電話もそうですよね(と、最新機種に機種変してしまったことをいまさらながらちょっと後悔)。

今日は他に嶽本野ばら『ロリヰタ。』も読破。このまえ『カフェー小品集』を読み直していたらどうしようもなくせつなくなって(もうこれはまじで必読です。この本に感応できる人、お友達になりましょう)、ぼくのなかの小さな女の子が彼の作品をもっともっととほしがるのでね。……てなことを書いていたら、アラ、月曜日にテレビでやるのね、下妻物語。茨城県人としてはうれしい限りだワ♪

串田孫一的オースター」への2件のフィードバック

  1. カタギリ

    初めまして。彷徨っていたらたどりつきました。
    私も最近カフェー小品集を読みなおしせつなくなりました。野ばらさんの紡ぐ文章がだいすきです。

  2. しゃもぢ@管理人

    コメントどうもありがとう。

    ひさしぶりにその作品を全部読みたいと思わせてくれる作家に出会うことができました。一番の幸せです。

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