TBSでやっていた豊川悦司扮する太宰治のドラマを見ました。
高校時代、文学青年のご多分に漏れず太宰治にかぶれていたぼくとしても結構満足できる再現ドラマでした。美智子夫人の視点からも描かれているのがなかなかよかったのかなと思います。
それにしてもいちいち出てくる作品の朗読につい声を合わせてしまいました。太宰の小説ってキャッチフレーズの宝庫なんですよね、自然と口をついて出てきてしまいました。けっこう何度も読んだからなあ。
トヨエツといえばやっぱり小説家の役をやっていた『Love Story』というドラマもかつてはまって見ていたことがあります。紫煙をくゆらせながら難しい顔をする役が似合うのは他にはなかなかいないんでしょうねえ。
いま僕の部屋の本棚に太宰がどこにいるかというと、一番下の段にひっそりと息を潜めています。やっぱりまだ読むのが怖い。まだまだあのハシカにかかる危険性はあるし、なかなか距離のとりずらい作家です。こういう内容のエントリーだと最後に「また読んでみようかな、と思います」とかなんとか月並みなことを書いてしまいがちなんだけど、それをとどまらせるものを太宰は持っています。なんなんでしょうね、一体。
最後の方で、悩みを打ち明けていた、駆け出し作家の田中英光って、この一年後の文化の日に太宰の墓の前で自殺しちゃうんだよね。太宰は井伏さんのことを自分を精神病院に運んじゃったから大嘘付きの悪人っていうけど、太宰のペンネームは大罪治めるって所だしね、カフェの女中との鎌倉の自殺幇助罪の件は、テレビでは端折ってあってその後からの展開だった。上手い小説家は大うそつきなことがある。
田中の「オリンポスの果実」は正直者が書いた傑作だと思う。
コメントありがとうございます。
そういえばピカレスクも映画化されていましたよね。あれと見比べてみるのもいいかもしれません。この前のドラマは割と伝統的な太宰像を割と忠実に踏襲しているようなところがあって、実は太宰ってこんなやつなんです!的なものがなかったような。
それにしても奥深い作家で……
—–