『八日目』

『八日目』という映画をレンタルビデオで見ました(下の写真はDVDのものです)。これはダウン症をテーマにした作品です。

『ジョゼ虎』はねえ、なんだかんだ言ったって、池脇千鶴ですからねえ、皮一枚で様になっているんですよ。要するに「障害」はテーマにすぎない、という言い方ができてしまうんです、こてこての恋愛映画ですから。『八日目』は逆にかなり「障害」と真っ正面から取り組んでいてけっこう(というかかなりの度合いで)古典的な展開ながら、まあ「いい映画」と言っていいのでしょう。

でも『八日目』もダメな人はダメなんだろうなあ、という気もする。「障害者」を扱った映画は数知れずあるけれど、何の疑いもなく道徳的な展開にするか(『八日目』のパターン)、一見ア・モラルを装いながら発想はとんでもなく古臭い(『ジョゼ虎』のパターン)か、逆にモラルを装いながらよく考えるととんでもないことを言っているか(うん、こういうのあったら見たい)、徹底して不道徳に走るか(そんな映画があったら映倫が許さないと思うが)なんだろうなあ。

いずれにせよ感心したのは、登場する「障害者」に対する口ぶりが妻夫木もアリーも子ども扱いしていない、たとえば赤ん坊をあやすような言葉づかいになっていないところです(ぼくは無理でした)。そこにむしろ葛藤のなさを読む人もいるかもしれませんけどね。

こういう問題は表象としての分析が、知らず知らずのうちに現実に食い込んでけっこうどぎつい結論になりがちなので、まあ、この辺で口をつぐみます。あくまでも作品論です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA