R.D.レイン『好き? 好き? 大好き?』

を、読みました。

さかのぼること当時ぼくは18歳で、大学に入って初めてのゼミで、何を血迷ったか「精神病理」を扱うクラスに参加したのでした。ぼく自身は矯正教育を主体に発表したのを覚えていますが(ついでに言うとほとんど盛り上がらなかったことに逆にびっくりしたことも)、周囲は割とつわものばかりで、宮台信者もいましたし、まあいろいろでした。そこで精神病理の世界で当然知っておかなければならないサブカルに初めて触れるわけですが、本書もその一つでした。テーマは一貫してディスコミュニケーション。平易な翻訳ですが、なかなかにうならせられます。言葉だけで通じ合えないもどかしさ、言葉だからこそすれ違ってしまう男女の悲しい姿がとことんまで描かれているわけですが、けれども副題として「対話と詩のあそび」と銘打ってあるからには、そこまで深刻にとらえなくてもよいのかもしれません。「そうそう、こういうことってあるよね」と本書を読み解きながら、実際の人間対人間のコミュニケーションの中では言葉を尽くせばよいわけですから。もちろん、そこには多大な努力と意思が必要なのは言うまでもないことなのですが。大学時代に巻き戻すと、その後南条あやに大いにかぶれたり、Coccoに傾倒したりしたあの辺の素地はあのゼミで培われたのかもしれないと思うと、本当に子どもにモノを教えることの残酷さというか、あまりに柔らかい脳みそに何を注入するのかを選択することは、学ぶ側も教える側も本当に恐ろしい選択を迫られるものだなあと、人の子の親になるとそういう感慨にもふけってしまいます。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。