岩本ナオ『町でうわさの天狗の子』再読

あらためて全十二巻を再読しました。

いややはり岩本ナオは素晴らしい作家です、本当に。後半は主人公の秋姫が天狗になっていくプロセスの中で級友たちとの別れがたさや、瞬との関係の前景化が描かれていくわけですが、それもなにもかもやはりコミック前半での様々な人間模様──タケルとの最初の付き合いや、様々な同級生たちの恋愛模様、学園祭でのクラスの対立とか、生徒会役員選挙とか、そういうある意味で学園ものでは王道の道具立てがそれで終わらずら一気に花開くというか、前半のややだらっとした日常があるからこそ後半の急ピッチの展開にもしっかり人物像系の陰影がついていってるんだなあと(感心をはるかに通り越して)感動します。

特に岩本ナオは絵柄で変に美化しないところがいいですよね。クラスの中で隣に座っている人なんてきっとこんなもんですよね、実際。それでそれぞれが自分の持ち味をどうしようもできない限界としてしっかり認識したうえで自分なりの幸せをつかんでいくっていうのは、全然少女漫画的ではなくて、極めてリアリスティックな描写なのだと思います。あと意外と男同士の関係もしっかり描いていて、そこも面白いですよね。ホームセンターの場面はついに描かれませんでしたが、想像するに難くない……。


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