夏目漱石「思い出すことなど」(青空文庫)

を、読みました。

修善寺の対韓前後、病床にある漱石の身辺雑記と言えば軽々しいかもしれませんが、30分間の「死」の体験についての感想が、作者の漢詩・俳句という形も借りながらつづられていきます。本編だけではないですが、漱石自身身近な人間が(特に冒頭の院長が先に逝っていたということを知ってしまうあたり特に)次々と死を迎えていきながら、あるいは水害などによる不慮の事故も含めて、死すべきでない人間が次々と死を迎える報知を受けていく中で、なぜ自分は死から還ってきたのかという煩悶が、間接的に幾度も繰り返されているという印象を受けました。それは自然に対するまなざしや、旅館の従業員や医療従事者との会話、あるいは自分が寝ている部屋の描写、子供たちとのやり取りの端々に、本書の後半で注意深く描かれています。


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