ソフトウェア開発におけるリスク管理の重要性、また「リスク管理」とは何をすればよいのかを実務に即して解説された非常に有用な本です。熊=リスク、ということですね。
なにより本書で印象的なのは、前半部分でリスク管理をすることは仕事に対する大人の態度であることを諭している点です。みんななにか想定外のことが起きると他人のせいにして、あるいはトンズラこいてしまう。もうそんなことに時間を使うのはやめよう。やる気だけで締め切りが伸びるわけじゃないんだから気合頼みの「子供っぽい」態度で仕事をするのはやめよう。はっきり言ってそういうこと。
「仕事から逃げない」というのを一つの洗練された態度だとするのであれば、そのために人は何をすれば良いのか? あるいはそれは自分の私生活やメンタルを守るために。それがリスクを管理し、共有化していくということ。日本人的な情熱論も理解できなくはないけれど、それは後付けの、後世の伝記作者の単なる創作かもしれない。現場はいつもヒイヒイ言っていた──のであれば、答えはひとつなのだ。「大人になりなさい」