2017年

何と言っても長らくいた職場から異動になって社外の人とたくさん会うようになりました。最初のうちは、スーツの着方やら乾杯の仕方やら国際線の乗り方やらわからないことだらけではあったのですが、なんとか大きな失敗なくやってこれています。これもなにも超保守的な自分の性格がなせるわざなんでしょうが、見よう見まねの一年だったので、来年はもう少しアウトプットに軸足を置いて、守りから攻めに転じていきたいと思います。が、まあそんなに急に人は変われるものでもないでしょうから、人の助けも借りながら、なんとかやっていきたいなあ、来年も、一介の営業マンとして。

戌年ということで、歳男なんですよね。もう二十代ではないし、三十代と言うにはもう四十代に近いし。もう少し自分なりの「スピード感」を生きていく基準にしていってもいいのかなと思っています。せかせかと焦ってもなにも生まないし。諦めるべきこともたくさんあるのでしょうが、その分新しく考えなければならないこともあるし、自分の人生で、そんなことが起こるなんて思っても見なかった嬉しいことや楽しいこともあるのもまたこれは事実で。

というこで、あなたにおかれましてもまた、来年がよいものでありますように。


リリー・フランキー『東京タワー』

ここに出てくる幾つかのエピソードは、すでに氏のコラムやエッセーで何度か面白おかしく描かれています。でも、その背景にはこんなストーリーがあったのだなと、もちろんこれは小説なんですが、感じ入ってしまいます。

たまたまですが、ぼくも西東京に長く住んでいたし、方南町は一年くらい(それも割りと遅れてきた多感な頃に)住んでいたし、北九州の感じも何度か足を運んだことがあるのでなんとなくわかる。なにより、2001年の、雪と桜の花が舞い散ったときのことはぼくもよく覚えている。氏とは20年近く歳が違うけれど、描く景色は一直線に心に入ってくる。あの頃、リリー・フランキーはこんなことを考えていたのか、全然知らなかった、『文藝』はあの頃よく読んでいたのだけれど。

この一冊、長編と言っていいと思いますが、本当によく書ききったものだと思います。変な言い方になりますが。よくここまで記憶を頼りに描ききったものだと思います。ここにどんな小説的技巧があるかわかりませんが、ころっと騙されてしまえばいいと思います。最後まで明かされない伏線もありますが、それも抱えて人は死んでいくものだし、それを詮索してもしょうがないのだと思う。それは、その人を目の前にして聞けることではないのだから、それはもうわからないままにしておくしかないのでしょう。


映画版『モテキ』

出張の飛行機の中でなんとなく見ていたら、あまりの面白さにドハマリしてしまった…。

それはそれは昔、原作のコミックは読んではいたのですが、なんとなく漫画に漫画家が出てくるのは小説に小説家が出てくるみたいであまり好きになれずそのままになっていたのですが、映画版はひたすら男の願望全開みたいな恋愛映画で、いやあ……なんというか、等身大というのはこういうことを言うのかと。

リリー・フランキーがとにかくいい味を出しているし(お陰で氏の著作を一通り読んでしまった)、森山未來のダンスシーンもよく分かる。わかりすぎるくらいわかる。頭のなか、こんなんなるよな……。

今となっては懐かしい気持ちも色々と引っ掻き回してくれるのが青春モノを中年過ぎた者が見る特権であり、またそれが若かったときの心情を呼び起こしてくれて、もう一度なんかやんなきゃ……みたいな気持ちになれるのもこれもまた一つの特権。

少なくとも多分、一介のサブカルクソヤローだったぼくもまた、この映画のサントラをうっかりしっかり買ってしまうのでした。

これとまたドラマ版の神聖かまってちゃんがいい味出してるわ……。