を、読みました。
結論から言えば、まあなんと言いますか……シナリオ・プランニングなどと大層な持って回って言わなくてもいいような薄い新書レベルの内容をここまで大判で凝った編集で出版しなくてもいいのでは……という感じで、大学とかでシナリオ・プランニング的な演習をやることがあるのかどうかわかりませんか、やるとしたら一年生向けの参考書の最後尾に名を連ねる程度の本だと思いました。
ただ、あくまでも読んでいるだけでは、という意味です。結局のところシナリオプランニングという技法は、なにか指南書を読んで個人がそういうことができるようになる「力」をつける、というものではなくて(私は本書を読む前までそういうものだと思っていました)、有能なファシリテイターがいて意識の高い参加者が複数いて、そういう場で初めて威力を発揮するワークショップ的なものである、ということでした(そしてそれは極めてコンサルファームチックなのですが)。
本書には概念として、シナリオプランニングの方法論がほんの少しだけ紹介された後、いくつかの具体的なシナリオプランニングを用いた課題アプローチの実例も載っているのですが、そのどれもが秘教的で、とてもじゃないですが「テクニック」として扱えるものではありません。少なくともこの本からも日常業務に活かせるものであるとか、あるいは自分がファシリテートしてシナリオプランニングを実際にやってみるノウハウは読み取れませんでした。そういう意味で、実に不親切で、「よし、やってみよう」という気にならない変な本です。
シナリオプランニングについては日本ではまだあまり実務的な紹介はされていないのでしょうか? 関連本もアマゾンで検索してもあまり出てこないし、筆頭がこれだったのでちょっと残念な感じです。まあ、一介のサラリーマンにとってそこまで万能なツールでもないように思えました。毎日投資判断しているわけじゃないしね。