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Paul Graham『ハッカーと画家』

を、読みました。

ぼく自身は特にプログラミングをやっているわけでみなく、むしろできないし、勤務先も決してIT企業というわけでは全くないのですが、普段の業務でシステム改善をお願いする立場になることがよくあるため、SEの人たちが普段どんなことを考えているのか、どんなことを大事にしているのか、我々「スーツ」族と違ってどんな働き方をしているのか、というのは折に触れて興味のあることでした。

本書はもともとネット上に公開されていた「エッセー」を日本語版へ増補して編集されたもので、ちょっと長めのブログ記事を16本読むような感じです。奇しくも「良いデザインは常に再デザインである」とか、macプロダクトの非アメリカ性への賛辞など、うなずける記述も多いです。

SEの働き方に関しては、ここ十年でずいぶんたくさんの言辞がネット上含めて生成され、議論になっているように思います。仕事自体は古くて新しいものなのですか、インターネットの利用がほとんど電気やガスと同じくらい当たり前になり、むしろ「インフラ」とさえ言えてしまうようになった昨今においては、一部の特殊なハッカーのための心がまえではなく、ある一定数の社会的クラスタにおける価値観として、色々な場面で影響を与えるものになってきていると思います。20年前に「SEの読書術」なんて本は想定されていなかったはずですが、今ではSEとしてのライフハックは、社会の色々な層に求められているものだし、そして直接その産業の中に身を置いていないぼくにとっても参照したくなるほどの勢いを得ているのだと思います。

原書は2005年刊行ですがまだまだ刺激的な一冊。