月別アーカイブ: 2013年11月

と、思う時もある。

もう小説なんか読みたくない。事実だけを直視したい。もしくは、事実の記述だけを取り入れたい。

と、思う時もある。

けれど、たぶん、偏見に毒されるのを誰よりも怖がっているだけなのかもしれない。

書き換えれば良い。それだけのこと。

あるいは、これだけの書物を通過してきたことにすこしばかりプライドを持って、同じスピードで快刀乱麻を振るえばいい。

だいじょうぶ。

だいじょうぶ。

ゴルフ攻略に向けて

IMG_5325

ゴルフからは逃げ続けてきた会社人生でした。が! この先の長い(新しい)会社人生においては「ゴルフやらずんば人に非ず」という不文律が断固として立ちはだかっていると判断しました……あいつがこんな写真をアップするなんて! という悲鳴も聞こえてきそうですが、これで今夜雪が降ろうが、それはそういうコトなのです。

まあとはいえ、前向きにね、なんとかこなしていきたいと思います。

写真はむかーし同期が餞別にくれたアイアンセットに、近頃の楽天セールスに乗じて(いや、多分違う)格安で手に入れたその他もろもろです。ここまでで総額一万一千円で済んでいます。あと何が必要なんですか? 靴と手袋とボールと……練習時間ですか? お金で買えないかなー、もう!

決定版三島由紀夫全集第2巻

を、読みました。所収は「愛の渇き」「青の時代」「夏子の冒険」。

「愛の渇き」は田園を舞台に狭い人間関係中でうごめく嫉妬と愛憎と、最後にはその結果としての殺人で唐突に終わるという長さの割にはかなり密度の高い作品です。三島としてはこの「女中との出奔」というのはかなり好んで(?)描くバターンのような気がします。「春の雪」ではしっかり夫婦にさせていますが、「みね」に対して決して好意的な描き方はしていません。「愛の渇き」でも女中「美代」は妊娠発覚後結婚の許しを得たにもかかわらず、悦子の嫉妬によって暇を出されてしまいます。作者に取って「女中」という存在が、作中でどこまでも憎むべき存在としてこだわらざるを得なかったのか、心中はもはやわかりませんが関連研究があれば紐解いてみたいです。

「青の時代」はもはや言うまでもありませんが「光クラブ事件」に材をとった作品です。ただ、単に事件の顛末を小説化したということではなくて、マイケル・サンデル流に言えば「それをお金で買いますか?」という問題意識を事件をモチーフにして三島流にアレンジしたものと言ったほうが正確です。三島自身は失敗作のような扱いで言及しているようですが、もう破滅しか残っていない状態で終わらせている本作のラストシーンは、個人的にはなかなか印象的で好きなものです。

「夏子の冒険」はしっかりオチのつく物語でした。

決定版三島由紀夫全集第3巻

を、読みました。第三巻は「禁色」を収めています。

群像と文學界とで前後半がそれぞれ連載され、新潮社から単行本が刊行されるとというおよそ今から考えてもありえない履歴をたどった本作品ですが、三島が「二十代の総決算」と言っているとおり力の入った作品です。いわゆるホモ小説ですが、おそらく後年にも渡っても三島がこだわり続けた「外面と内面」の問題はここでかなり明確に立論されているようにも思います。愛とは、愛する行為の中にしか存在しない…というような。

小説として読んだ時にはやはり檜俊介が最終的には主人公だったのではないかと思えます。その「晩年」に、自らへの注釈を試みながらそれを次々と裏切っていく自分に絶望していく様は、それこそ「愛」と呼ばずにはいられないものなのでしょう。本当に本当に、彼は愛されたかった! 愛を知りたかった。だからこそそんな「モノ」は存在しないと強がっていたのかもしれません。