月別アーカイブ: 2013年7月

川本三郎『マイ・バック・ページ』

映画原作。事件の記述もさることながら、当時の心象風景も印象的。そしてそれらは実に丁寧にすくい上げられて映像化されていたんだな、ということにも感じいる。静かで、熱く、今もなお解決されずに問われ続ける声がある。お前はそれを持っているか?

ゴルフから逃げ続けてきた人生でしたが、そろそろ言い訳が効かなくなってきました。

観念して、仕事と思うことにします。仕事と思えば、大抵のことはやってのけることが出来るのがぼくの長所なのです。

決定版三島由紀夫全集第11巻

を、読みました。

こちらも主に女性誌に発表された平易な内容の長編小説三編を収めます。特に「夜会服」は後の「春の雪」にも通ずる状況設定の中で当時の当世気質がよく描かれていて、たぶん三島由紀夫の最も得意とする分野ではないでしょうか。文体も非常に安心して読み進められるもので、乗馬が描かれているからではないけれど上質の馬に乗って気持ちのいい作品世界を巡ったような気分になります。気がつけば最後の一文にまでたどり着いていたような。全く読者に負担をかけない、それでいて三島的な構築の美学を依然として保持しているそのスタイルに、「三島の大衆小説・娯楽作」とひと括りに出来ない作家の力をひしひしと感じます。

それにしても作者の好んで描く男性像というのはいよいよ明らかです。コスプレ的ではあるんですけどね…。

阿部共実『空が灰色だから』

を、読みました。

ギャグ、ではない。思春期の自意識過剰と、言語障害ネタがいい具合にラップしていて、いわゆる中二病を抱えたまま大人になっていく人たちの悲しいサガをこれでもかとえぐってくる。えぐってくる割には三回に一回程度は優しくなだめてくれたりもする。そのバランス感覚がものすごい。そしてここに書かれてある「痛み」のようなものは大抵の人は特別記憶の厳重封印しなくても、卒業したり社会人になったりしていくうちに結構忘れていってしまうものです。忘れてもいいけど、たまには思い出せよ! というのがこの作者の究極のテーゼなのかも知れません。

トム・ラス&バリー・コンチー『ストレングス・リーダーシップ』

を読みました。

本書はそこに書かれてあることを読むことによって「◯◯力」が身につく、というような構成にはなっていません。なぜなら、リーダーシップの強みというのは万人にとってそれぞれ異なるからです。他者と異なる自分の強みをウェブテストによって知り、指摘されたいくつかの素質に対してリーダーという観点からどのようなことが必要かが本書に具体的に記載されています。

例えばぼくの場合、ウェブテストでは以下のような結果が出ました。

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これに対して、本書には以下のようなアドバイスが書かれています。

〈内省〉
・周りの人に自分の思考回路について説明すること
・一人で考えるのが自分にとって良いということを理解してもらうこと
・そのような部下を持った場合は理解させることに努めること
〈適応性〉
・人生のあらゆる局面をコントロールしなくては、という思い込みから自由になること
・全てをコントロールせずに本物の人生を始めること
〈収集心〉
・常に最新勝つ正確な情報を提供し、信頼を得ること
・収集真の才能を人間関係構築の足がかりにすること
・他の人達の考えやアイデアを書いたものに目を通し、真剣に議論すること
〈運命思考〉
・信念を言葉に表すこと
・世界や異なる文化の人達の架け橋の役割をはたすこと
・相手に対しては共有できる関心が見つかるまで質問をし続けること
・自分がネットワークの中にいることを相手に思い出させること
〈達成欲〉
・個人的な人間関係を一つ以上構築することを毎日の目標とすること
・人生でコントロールできるのは自分の努力だけであるということ
・無駄な会議に出席せぬ、させぬこと
・睡眠時間や残業時間を問うことでねぎらうこと

やってみた感想としては、それなりに的を射ている感覚はあります。以前にうけた管理職研修でも、自分が考えていることや思考プロセスをもっと相手に分かってもらう努力をした方がいい、というような指摘を受けたことがあるので。エクセルでもいいから、もう少し相手に自分を分かってもらうということに時間を割くことを意識したほうがいいのかもしれません。「運命思考」というのはちょっと意外な言葉が出てきましたが、「適応性」とセットで考えるといいのかも知れません。不測の事態が起こっても、これを乗り越えることに意味があるというふうにカチッと思考を切り替えられるのは生活の知恵だったりしますからね。

病欠

風邪を引いたので今日は会社を休むことにした。

『ゴドーを待ちながら』を読了。長年欲しいと思っていた本が白水uブックスから出ていたので本屋で狂喜乱舞したのである。軽々しく解釈できてしまう誘惑を放ちながら、解釈を拒み続ける簡素で難解な本。

鼻が詰まって耳が遠く、喉が痛くてうまくしゃべれず、たまには世界遠ざかってみるのもよい。

明日はがんばらなきゃ、とだんだん思い始めている木曜日の夜。